子供のままの恵理子には、家事とは言っても
掃除と洗濯ぐらいしか出来ない。
料理はもっぱら周平の役目になった。

「パパ、これおいしいよ。えり、これだいすき」

「そうだろ、頑張ったんだぞ。残さず食べなさい」

夕食の時間を終え、テレビを見る。
10歳に退行してしまった恵理子が一番好きな
ドラえもんだ。
一人前の女性が、ドラえもんを見て手を叩いて喜ぶ。
周平はその姿を見て、ボロボロと涙をこぼした。

本当なら、ここにもう一人居るはずなんだ。
その時間を奪っていった犯人が憎くて仕方ない。
だが、警察の捜査は全く進展が見られなかった。
目撃者が皆無なのだ。
犯行時刻は平日の昼間なのだが、それが逆に
災いした。 この町内は昼間、全く人通りが無い
時がある。

魔が立ち寄った、そうとしか考えられなかった。

恵理子のリハビリは遅々として進まない。

「どうしようもないのか。このまま、時が癒すのを待つしかないのか」
そうつぶやきながら、周平は仏壇の写真を見た。

「どうしたら良い?何か答えてくれよ」
周平は遺影に話しかけた。

その途端、閃くものがあった。