少し休んでは子猫の体をさすり、また走り出す。
1時間近く走り続けた頃、見慣れた景色が
現れた。

「確か、ここはおいらが始めて江梨子さんに
出会った場所だぞ。よし、チビ公、もう少しだ。
がんばれよ」

必死で走るミチクサは、後をつけて来る者の存在に
気付かなかった。

サクラの家が見えてきた。
「よ、よかった…これ以上、走れないよ」

突然飛び込んできたミチクサに驚いたサクラで
あったが、事情を話すと、途端に子猫を
ミチクサから奪うようにして抱きしめた。

「かわいそうに。お母さんの顔も温もりも、
オッパイの味も知らないなんて…」
サクラはボロボロ泣きながら、子猫にオッパイを
与え始めた。

子猫は夢中でむしゃぶりつく。
よほど、お腹がすいていたのだろう。
みぃみぃと鳴きながら、いつまでも飲み続け、
飲みながら眠ってしまった。