男がその店に入って
から、五時間は経って
いた。入ったのは日付
が替わる前だったが、
そろそろ空が白み始め
ていた。

「くそ。もうこんな
時間か…学校面倒だな
。一限目は確か宗教学
か…サボっちまうか」

男が居るのはネット
カフェ。
男がやり続けている
のはネットワーク
ゲームだった。

「しかしこいつレベル
上がんねえなぁ…
何とかなんねぇかな。」


「なりますよ。」


「ひぇぇっ!誰?
あんた」


「これは失礼。私、
喪黒と申します。
セールスマンです。
これ、いかがです?」

「…何これ。腕時計
にUSBが付いてるの?」

「それはですな、
あなたの日常の実体験
をそのまま経験値に
転換できる装置です。」


男は半信半疑ながら、
喪黒と名乗るセールス
マンの説明に聞き
入った。


「少し試してみます
か…」


ちょうどその時、男の
後ろを通った店員が
トレイをひっくり返
した。
男は喪黒に促され、
腕時計を付けて店員の
手助けをした。

「さぁ、モニターを
ご覧ください。」


男は目を見張った。
…パラメーターが
上がっていた。

『国民の評価』の数値
が上がり『騎士』の
称号が新たに選べる
ようになっていた。