俊輔は夜が近づく道をがむしゃらに飛ばしていた。
最初、オカンボの体を労わっていたのだが、途中から
それも必要ないことが判ったのだ。
オカンボは、歯の無い口でニタニタと笑うとこう言ったのだ。

「飛ばせーっ!私ゃスピードが大好きなんじゃ!行けーっ!」

仰せのままに、と飛ばしに飛ばした。
あと少しで村だ、ようやく俊輔の顔に笑みが浮かんだ。
だがその笑顔はすぐに引っ込む。
数台の車が進行方向を塞いでいたのだ。
急停止した4WDの前に、背の高い男が現れた。

「日本人だな。どこへ行く?」

「あんた誰だ?すまないが、急いでるんだ。どいてくれないか」

男はニヤニヤと笑いながら、道を譲ろうとはしない。
「俺はエラウナ。この辺りを仕切っているゲリラのリーダーだ。
お前の車、なかなか良いな。我々が徴収する。置いていけ」

エラウナの口からバンギと呼ばれる麻薬の臭いがする。
その手には銃が鈍く光っていた。

「あんたがエラウナか。エラウナさん、俺の子供が産まれようと
してるんだ。申し訳ないが道を開けてくれ」

エラウナはなおもニヤつきながらボンネットに手を置いた。
「ははぁ、お前がシュンスケか。俺の大事な部下を攫った奴だ。」

「何を言ってる。首にしたのはそっちだろ」

「まぁいい。何よりも俺たちがお前を許せないのは、
お前の持ってきた学校が、俺たちの先祖を馬鹿にしていることだ」


十四へ