病院の中庭には、様々な花が咲き乱れている。
彰宏はその花を描くのが何よりの楽しみだ。
早朝からスケッチブックを持ち、中庭に行く。
目にも鮮やかなブルーの花、デルフィニュームを描くことにしていた。
青い空に負けないぐらいの色が彰宏のお気に入りだった。
スケッチブックに半分ほど描いている途中、ショーンがやって来た。
「ショーン!おはよう」
返事が無い。思いつめたような顔だ。
「どうしたの?ショーン」
「父さんが…父さんは、昨日、君の父さんに酷いことをした。
僕は父さんを許せない…」
彰宏はクレヨンを置き、ショーンを見つめた。
そっと手を握り、話しかける。
「何があったか知らないけど、僕と君は友達だよ。
ねぇ、今日は何して遊ぶ?」
また返事が無い。
「どしたん?」
ショーンは車椅子を廻すと、彰宏に背中を向けた。
ゆっくりと走り出す。
「今日、転院するんだ。もう、君と会えない」
そう言い残して速度を上げた。
「え?待ってよ、ねぇショーンっ!」
ショーンは一度も振り返らず、自動扉に向かう。
彰宏は懸命にショーンの後を追った。
せめて、花の絵をあげたかった、それが何よりの悔いだった。
その時だった。急停止した車から降りた男が、ショーンを羽交い絞めにして
口を覆った。
八へ
彰宏はその花を描くのが何よりの楽しみだ。
早朝からスケッチブックを持ち、中庭に行く。
目にも鮮やかなブルーの花、デルフィニュームを描くことにしていた。
青い空に負けないぐらいの色が彰宏のお気に入りだった。
スケッチブックに半分ほど描いている途中、ショーンがやって来た。
「ショーン!おはよう」
返事が無い。思いつめたような顔だ。
「どうしたの?ショーン」
「父さんが…父さんは、昨日、君の父さんに酷いことをした。
僕は父さんを許せない…」
彰宏はクレヨンを置き、ショーンを見つめた。
そっと手を握り、話しかける。
「何があったか知らないけど、僕と君は友達だよ。
ねぇ、今日は何して遊ぶ?」
また返事が無い。
「どしたん?」
ショーンは車椅子を廻すと、彰宏に背中を向けた。
ゆっくりと走り出す。
「今日、転院するんだ。もう、君と会えない」
そう言い残して速度を上げた。
「え?待ってよ、ねぇショーンっ!」
ショーンは一度も振り返らず、自動扉に向かう。
彰宏は懸命にショーンの後を追った。
せめて、花の絵をあげたかった、それが何よりの悔いだった。
その時だった。急停止した車から降りた男が、ショーンを羽交い絞めにして
口を覆った。
八へ