「なによあんた。恨みつらみなら、こっちが先だからね」
まくし立てる奈緒美に、生前と同じく弱々しい笑顔を見せ、誠一が答えた。

「違うんだ、今日は用事があって来たんだよ」

「用事?はぁ?!」

ぼそぼそと誠一が話し始めた内容は、到底信じられるものでは無かった。
「俺な、今、死神の部下やらされてんだよ。
ギャンブルにハマって死んだ奴とかは、何百年かは下働きさせられるらしい。
でな、俺の役目ってのが、人間の余命を決定するってやつで」

そう言いながら誠一は、サイコロを一つ、懐から取り出した。

「これで決めるんだ。見な、まるっきり普通のサイコロだろ」

手のひらで転がして見せたサイコロは、確かに通常と同じだ。

ただし、穴が彫られてはいない。
1から6までの数字が記入されてある。

「出目に応じて『死のロウソク』が立てられるんだよ。1が出たら、一本。2が出たら二本。そのロウソクが消えたら死ぬ」

説明を聞きながら、奈緒美は床に崩れ落ちた。

「やっぱり死ぬのか、あたし」

誠一が心配そうに尋ねた。
「それなんだけどな、お前の名前がリストに載ってるから驚いちまったよ。健康そのものだったじゃねぇか」