クリスマスイブ、幸太の歓声が狭いアパートの部屋中に響いた。

「おねぇちゃん、ほら見て!サンタさん、ちゃんと今年も来てくれたよ!」


「あたしが懸賞に応募しといたの、当たって良かった」と夏美は説明した。

しきりに感心する母に、背を向ける。
嘘をついた後ろめたさが夏美をしばらくの間無口にさせたが、母の精一杯の料理が出る頃には、いつもの笑い声が戻っていた。


(父さん、ありがとう)

胸の中で、そう感謝する夏美の目がプレゼントの包みの上で止まった。

父親が包んだに違いないプレゼントは、長いリボンで結ばれてある。
緩やかな光沢を放つ赤いリボンは、
包装用にしては上質な物に思える。

丁寧に解いていくとリボンの端に、何かが小さく書いてあるのが判った。

「夏美ちゃんへ。このリボンで髪を飾ってください。サンタさんより」

夏美は、ポニーテールを結わえている古びたリボンを外し、その赤いリボンを結んだ。

(父さん、あたしの好きな色覚えていたんだな)

そう思った瞬間、夏美は溢れてくる涙を押さえることが出来なくなった。
このリボンをつけて、お礼に行こうと決めた。

「おねぇちゃん、ケーキ食べるよー」

幸太の弾んだ声がする。

「はーい」

夏美は急いで立ち上がった。

その髪で赤いリボンが揺れている。

いつの間にか、外は雪が降り始めていた。