「それがこの色紙なの」

いぶがもう一度、ピヨッ子に色紙を見せた。
ピヨッ子の顔の下にあるドラ焼きが涙でグシャグシャに
なっていた。

「いぶさん、あたし、もう一度やります」

「がんばれ、ピヨッ子!」

「はいっ!」

熊が帰ってきた。

「良い茄子があったぞ」
嬉々として台所に向かう。

茄子は母の大好物であった。
彼は、これから幕の内を一つ作る。
仏壇にそなえる為だから、店のメニューには載せない。


いぶは以前、こっそりとつまみ食いをしたことがあった。
食べた途端、涙が溢れて止まらなくなった。
それほど優しい味だったのだ。




     -この話を母に捧げます-