店の前には黄色い熊の置物があった。
その熊が持つボードには、本日のお勧めの品が記されている。
『本日のお勧め・ソラマメと鶏肉の煮込み・スナップエンドウのサラダ・
竹の子ご飯・蛸の天婦羅・蛸とジャガイモのマリネ・かみなり豆腐丼』
見ているだけで食欲が湧いてくる。
静江の隣で、歌うのを止めた節子が、突然言った。
「この店は美味しいに決まってるよ」
「なぜ?母さん」
「あら、わかんないかねぇ。匂いが違うだろ。丁寧な仕事が立てる匂いだ」
驚く二人を尻目に、節子は先に立って暖簾をくぐった。
その背中がすっきりと伸びている。
「へい、らっしゃいませ」
優しい声がした。
「お邪魔しますよ」
穏やかに節子が応える。
慌てて後を追う静江と拓朗にも同じように声が掛けられた。
静江はカウンターの中に居る男を見て、思わず微笑んでしまった。
「あの人がこの店の店主、通称・つくね亭の熊」
拓朗が囁く。
我慢できなくなり、静江は笑ってしまった。
絶妙なタイミングで冷えた玄米茶と御絞りが置かれる。
運んで来たのは、きりりとした美しい女性だ。
「熊に見えますが、人間ですから大丈夫」
そう言いながら笑う口元が爽やかである。
その熊が持つボードには、本日のお勧めの品が記されている。
『本日のお勧め・ソラマメと鶏肉の煮込み・スナップエンドウのサラダ・
竹の子ご飯・蛸の天婦羅・蛸とジャガイモのマリネ・かみなり豆腐丼』
見ているだけで食欲が湧いてくる。
静江の隣で、歌うのを止めた節子が、突然言った。
「この店は美味しいに決まってるよ」
「なぜ?母さん」
「あら、わかんないかねぇ。匂いが違うだろ。丁寧な仕事が立てる匂いだ」
驚く二人を尻目に、節子は先に立って暖簾をくぐった。
その背中がすっきりと伸びている。
「へい、らっしゃいませ」
優しい声がした。
「お邪魔しますよ」
穏やかに節子が応える。
慌てて後を追う静江と拓朗にも同じように声が掛けられた。
静江はカウンターの中に居る男を見て、思わず微笑んでしまった。
「あの人がこの店の店主、通称・つくね亭の熊」
拓朗が囁く。
我慢できなくなり、静江は笑ってしまった。
絶妙なタイミングで冷えた玄米茶と御絞りが置かれる。
運んで来たのは、きりりとした美しい女性だ。
「熊に見えますが、人間ですから大丈夫」
そう言いながら笑う口元が爽やかである。