「のう、ミチクサよ。お前達の頭領である
猫又様とはどのようなものであるのか。」

「一言では言えません。大きな方です。
いえ、体が、というわけではありません。
存在その物が大きな方です。」
懐から返事が返ってくる。

「ほほぅ。そもそも猫又とは年を経た猫が
化生したものと聞く。
さぞ、年を重ねた猫殿なのであろうな。」

のんびりとした会話を交わしながらも、その歩みは速い。

「そうでしょうね…。先生は、あ、私共は
そう御呼びしているのですが。
この国の生まれではないようです。
我々には見当たらぬ毛色をお持ちです。」

「色?」

「はい。銀色の毛です。」

「銀…。」
答えながら、十兵衛は音も無く鯉口を切った。

「ミチクサ。どうやら追いついたものがいるようだ。
少し、隠れておれ。」
言うが早いか十兵衛は、すっ、と木立に隠れた。

それを追いかけるようにひたひたと足音が近づいてくる。
足音は十兵衛が潜む辺りで止まった。