「何を水臭いことを。あなたと私の仲じゃあーりませんかっ!」
本気なのかふざけてるのか、良く判らない。

カラスの大将も降りてきた。
「恐ろしげな相手じゃの。やれるか、先生」

「そうですね…あの腹を突き破れば何とか…一度やってみます」

カラス達にまとわりつかれ、蜘蛛は明らかにイラついている。
無闇矢鱈に糸を吐く。
その隙を見て、先生は蜘蛛の腹に向かった。
だが貫けない。跳ね返される。
固いからではない、弾力があるのだ。

「ゴムを叩いたような感触ですね…もう少し、勢いをつければ
あるいは。高度を稼ぐしかないか…」

「さ、そこで私の出番です。止めても無駄ですよ」
杉山が先生に詰め寄った。

「…判りました。そうまで仰るならお願いしましょう。
…杉山さん?どうかしましたか?」

杉山は、ぼんやりと先生を見つめている。
数瞬遅れて気がついたようだ。

「もちろんです。ようやくお役に立てるときがきました、さ、
背中に乗ってください」

「杉山さん、今、意識が飛びませんでしたか?
正直に答えてください」

杉山は、二、三度頭を振った。
「…確かに飛びました。何でだろ」

「もうそろそろカラスの生体意識が貴方の霊体を
拒み始めているのでしょう。後は疲労した方が負け。
杉山さん、やはり無理は止めて、ここに居てください。じゃないと
あなた、この世から消えてしまう」

二十五へ