その言葉がだんだんと力を増してきた。
いつの間にか、声に出していることに優一は気づかない。

「いいや、楽にはなれんだろうなぁ」
突然、耳元で囁く声がした。

「うわぁっ。…って伯父さんかよっ!なんだよ、人の部屋で」

ベッドの側でニヤニヤと笑っているのは、優一の伯父、吾郎だ。
相変わらず派手なTシャツに穴の開いたジーンズ。
Tシャツには髑髏みたいな怪物が描かれてある。

「よ。重い病気らしいな。俺も昔、よくかかった病気だ。
仮病、っていう不治の病だ。」

「…違うよ。ほんとにお腹が痛いんだよ」

唇をとがらせる優一の額を軽く小突きながら、吾郎は言った。
「違うだろ。痛いのは腹じゃ無くて、ハートじゃねぇのか」

「臭いセリフ。そんなセリフばかりだから売れないんだよ」

吾郎はブルースギタリストだ。
関西では人気が高いギタリストらしいが、優一はまだ聴いた事が無い。
親戚一同の悩みの種であった。