大悟はようやく
川へたどり着いた。
こんびにの方を
覗き見る。

森爺は鮮やかに
若者達の攻撃を
避けていた。
からかっているよう
に見えた。


『ホッホー。
面白かったわい。
ネズミやカラスの
方が余程歯応えが
あるわい。さぁ
行くぞ。
海はもうすぐじゃ。』

大悟もそれは感じて
いた。
風の匂いが違う。
川の水も違ってきた。
父さんもこの風景を
見たのかな。

大悟はわくわくしながら
川を下って行った。

何度目かのカーブを
曲がった時、それは
突然表れた。

『森爺、あれ何!』

『ホーホッホ。
お待ちかねじゃ。
あれが、海じゃよ。』

大悟は目を見張った。

これが海。

すごい。

これを父さんも見たんだ。

大悟は、震える体を
止める事が出来なかった。

『どうじゃな。海は。』

『うん、すごいよ。
父さんの言ったとおりだ。』

そう嬉しそうに
森爺に答えながら、
大悟はゆっくりと
倒れていった。

『ぼうや?どうした!』

山椒魚はある程度、
汚れた水でも生きては
いける。
だがしかし、大悟が
長期間泳ぎ続けた
下水はあまりにも
汚れすぎていた。

大悟の体は一刻も
早く、山奥の美しい
水を求めていた。