今日も汗だくの額をハンカチで拭きながら出勤である。
同僚の涼子が心配そうに話しかけてきた。

「大丈夫?まだ続いてるの?…その、エレベーターの霊ってやつ」

酒の席で何気なく話して以来、涼子は何くれと無く心配してくれていた。

「うん…弱ったよ、どこでもいつでも出てくる…」

「少しやつれたんじゃない?病院とか行った?いや、それよりも御祓いかな…」

とりあえず一週間後、病院へ行こうという結論が出た。
それほどまでに、英夫の外見は変わってしまっていたのだ。
涼子に付き添われて、英夫は神妙に医師の言葉を待った。

「ふむ。前回の血液検査の結果がありましたね。比べてみると…
素晴らしい。たいへんに良い結果です。
随分と運動を続けられたのでは?」

「はぁ?」
やつれたのではない、引き締まったのであった。
エレベーターが使えない為に階段ばかりを使っていた事が幸いしたのである。
英夫の腹は見事に腹筋が浮き出るまでになっていた。