そして藤田は振り返り、いぶに愚痴った。
「あんたんとこの飯のせいだ。あんなに優しい飯、食べちまったから
涙も笑顔も腹に溜まってしまったんだ」

こくり、と会釈するいぶに藤田は、にんまりと微笑んだ。

「この庭のハーブ、好きなだけ使ってください。
香子も喜ぶに違いない」

頼みます、と深々と頭を下げる藤田に、いぶが思い出したように言った。

「そう言えば、ローズマリーの花言葉、御存知ですか?
思い出と永遠の愛、です」



「えぃらっしゃい!おや、藤田のじっちゃん。まいどっ!」

「じっちゃんは余計だ。熊。俺はまだまだ若いぞ」

熊がニカニカと笑う。
「はは、そりゃ申し訳ない。で、今日は何を」

「そうだな、…夏野菜のクリームグリル・ローズマリー風味。出来るか?」

「受けて立ちましょうっ!」

店内に笑い声が溢れる。

つくね亭にまた一人、家族が増えたのである。