「…すまん こんな…ものしか やれん」

「なに言ってんのよ、今まで貰った中で一番のプレゼントよ」
どうやら淑子が担ったのは笑顔だけではないらしい。
二人分の泣き顔かそこにあった。

「よく覚えていたわね」

しゃくり上げながら問う淑子に、佐藤は答えた。
「いつも…かれん だーを みてたから」

ならばこそ、カレンダーの後ろに書いたのだ。
時々取り出しては、記憶が衰えてきた己に、
必死で言い聞かせてきたのであろう。
その気持ちを考えると、尚更我慢できず、
とうとう理沙は手放しで号泣し始めた。



訓練室の窓に三人が並ぶ。
沈む夕陽は見られなかったけれど、
その代わり、一番星が見えた。

「あなた、一つでも多く夕焼け見ましょうね」

「…うん」

目を真っ赤に泣き腫らした理沙は、黙って頷いている。
人と人は、言葉を使い互いを慈しむ。
文字を使い、互いをいとおしむ。
その二つを取り戻す手伝いをすることが私の仕事だ。
この仕事を選んでよかった。
きらきらと輝く一番星を見上げながら、理沙は微笑んだ。
その笑顔は優しく、強かった。


今回の記事をリサキングさんに捧げます。
彼女の記事無しでは書けない作品でした。