今年の梅雨は、ほとんど雨が降らなかった。
異常気象という言葉が耳慣れなかった時代は遠い昔だ。
最近ではニュースの埋め草としてしか使われない。
とにかく、晴れの日が続くのは僕みたいな独り者にとってはありがたい。
洗濯物が良く乾く。
「いつも清い男でいなさい。あなたの父さんも清い人でした」
母さんの遺言は、精神的な面だと思うけれど、心身ともに綺麗な方が良いに決まってる。
学校に行く前の洗濯が、僕の日課になったのはそんな理由だ。
けれど、その日は少しのんびりし過ぎてしまった。
今日は就職説明会だったのだ。
僕は、まるで昔の漫画に出てくる女子高生みたいに、
トーストを口に咥えて駅への道を急いだ。
「深尾くん。良かったら珈琲いかが」
「え」
振り向いたら、そこには飛びっきりの笑顔があった。
笑うのが下手な僕には、絶対たどり着けない笑顔だ。
「あ、おあようおあいまふ」
「多分、おはようございますって言ったんだろな。おはよ。
まずいな、学園の不祥事じゃん。まさか理工学部の首席が
トースト咥えて登校とは」
ようやく飲み込めた。
「ご、ごめん。まずかったかな」
異常気象という言葉が耳慣れなかった時代は遠い昔だ。
最近ではニュースの埋め草としてしか使われない。
とにかく、晴れの日が続くのは僕みたいな独り者にとってはありがたい。
洗濯物が良く乾く。
「いつも清い男でいなさい。あなたの父さんも清い人でした」
母さんの遺言は、精神的な面だと思うけれど、心身ともに綺麗な方が良いに決まってる。
学校に行く前の洗濯が、僕の日課になったのはそんな理由だ。
けれど、その日は少しのんびりし過ぎてしまった。
今日は就職説明会だったのだ。
僕は、まるで昔の漫画に出てくる女子高生みたいに、
トーストを口に咥えて駅への道を急いだ。
「深尾くん。良かったら珈琲いかが」
「え」
振り向いたら、そこには飛びっきりの笑顔があった。
笑うのが下手な僕には、絶対たどり着けない笑顔だ。
「あ、おあようおあいまふ」
「多分、おはようございますって言ったんだろな。おはよ。
まずいな、学園の不祥事じゃん。まさか理工学部の首席が
トースト咥えて登校とは」
ようやく飲み込めた。
「ご、ごめん。まずかったかな」