勤労感謝の日が来ると
思い出す。
俺の母親は、俺が3歳
の時に夫に先立たれ、
それからずっと女手
一つで俺と姉を育てて
くれた。
今よりも職業の選択肢
が少ない時代だ。
母は水商売の世界に
身を置いた。
夕方、俺達に飯を作り
着飾って出かける。
帰りはいつも2時か3時
だった。
きっちりと着物に
着替え『戦闘開始や』
と出ていく母は素敵
だった。
感謝していた。
だから俺は、五年生の
時に小遣いを貯めて
母にプレゼントを
贈った。
勤労感謝の日だった。
テントウ虫の形の
可愛い爪切り。
長く伸ばしている爪が
気になったのだろう。
その時の母の顔は
今でも覚えている。
泣きそうな、困った
ような、でも満面の
笑顔。
水商売の女性に爪切り
など、今思えばあまり
良くない組み合わせだ。
けれど、母は俺の
目の前で思い切り良く
爪を切った。
綺麗なマニキュアを
施した爪だった。
「あの時は困った」と
年老いた母はよく
俺に話してくれた。
その手は長年の苦労で
ひび割れ、ガサついて
いたが、俺にとっては
誰よりも美しい手
だった。
今はもう、つなぐ事は
できない。
思い出す。
俺の母親は、俺が3歳
の時に夫に先立たれ、
それからずっと女手
一つで俺と姉を育てて
くれた。
今よりも職業の選択肢
が少ない時代だ。
母は水商売の世界に
身を置いた。
夕方、俺達に飯を作り
着飾って出かける。
帰りはいつも2時か3時
だった。
きっちりと着物に
着替え『戦闘開始や』
と出ていく母は素敵
だった。
感謝していた。
だから俺は、五年生の
時に小遣いを貯めて
母にプレゼントを
贈った。
勤労感謝の日だった。
テントウ虫の形の
可愛い爪切り。
長く伸ばしている爪が
気になったのだろう。
その時の母の顔は
今でも覚えている。
泣きそうな、困った
ような、でも満面の
笑顔。
水商売の女性に爪切り
など、今思えばあまり
良くない組み合わせだ。
けれど、母は俺の
目の前で思い切り良く
爪を切った。
綺麗なマニキュアを
施した爪だった。
「あの時は困った」と
年老いた母はよく
俺に話してくれた。
その手は長年の苦労で
ひび割れ、ガサついて
いたが、俺にとっては
誰よりも美しい手
だった。
今はもう、つなぐ事は
できない。