天は我に味方した。
雄司は腰のあたりで小さなガッツポーズを取った。

「じゃあ後で」

「ええ。話したいことが沢山あるわ」

「俺もだ。あ、一つだけ今言ってもいいか」

「なに?」

「愛してる」

「…ばか。あたしもよ」

二つ目のガッツポーズを取りながら、雄司は駅前の
スーパーに向かった。
買い物中の主婦達の怪訝な目を物ともせず、
雄司は鍋の材料を次々にカゴに放り込んでいった。
魚か肉か、散々悩んだ末、雄司は決意を固めた。
「よし、これなら最高だ」

心なしか、部屋の灯りがいつもより暖かく見える。

「ただいま」

「お帰りなさい」

「ただいま。いいよなぁ、ただいまって言ってお帰りって
返されるのは」

「なによ。お帰りぐらいで、そんなに喜んで。
なんならお帰りのチュウでも」

ほら。こんなに楽しいじゃないか。
鍋、恐るべし!
雄司は、己の手の中にある買い物袋を頼もしげに見下ろした。