温泉といえば草津温泉である。

源泉が50~95℃。
強酸性の湯は、大腸菌などの雑菌が瞬時に死滅する。

万病に効くと言われるのも当然だ。
この為、世界にも類を見ない温泉療法がこの地に確立された。

時間湯と呼ばれるのがそれだ。

48℃の湯に3分間だけ入浴する。
7時、11時、15時、18時と日に四回を基本に湯治を続けるのだ。

草津節を歌いながら湯もみをし、湯を攪拌する。

かぶり湯の後、湯長と呼ばれる指揮者の号令で浴槽に浸かる。

では私も早速。え?俺一人?いいんすか?

「そろそろ下がりましょう」

おーっ!


「揃って3分」


おぃーす


「改正の2分」

うぃーす


「限って1分」


熱い。熱いが気持ちよい。

「チックリの辛抱」

お、もう少しだ。
このあと、『辛抱のしどころ』と続いて『効きましたら上がりましょう』で終わりだ。


「湯長」

「うん?何か」

「皆様お待ちかねですが」


「もうちょいだから」


あのーまだっすか?

「あぁごめんなさい。もうチックリ辛抱しましょう」


ええ?…おいっす


「あと少し辛抱」




その頃、温泉の宴会場は、本日の特別料理『熊シャブ』を待つ人々で溢れ返っていた。