食べなきゃ死ぬ。
これは当たり前。

けれど、昨日嫁はんから聞いた一言は、俺の魂に深く響いた。

「食べていても死ぬことがあるの。
それは、緩やかな自殺なのよ」


いい加減な食べ方を続けていると、体ばかりか、心まで病んでくるというのだ。

実は、正にそれが当てはまる人物が身近にいる。

更に恐ろしいことに、栄養不足は脳細胞を壊していくらしい。
確かに、彼にはそんな兆候が現れ始めている。

今日、嫁はんは彼に弁当を作った。
食べることからもう一度考える切欠になれば、という想いからだと思う。
彼は、何ともいえない顔つきで、残さず綺麗に平らげた。



何をどうやって、どの程度食べるか、俺は考えたことがない。

嫁はんの手料理を食べているだけだ。
だが、そのおかげで血糖値もコレステロールも血圧も、悩みも悲しみも全て気にならない。


俺は嫁はんに生かされている。

それは何よりも幸せなことだと思う。