金田はその日何度目かのクレーム対応に追われていた。
前任者の飯岡が突然失踪した為、その分の仕事が全て金田に振られてしまった。
手が足らないのは当然としても、飯岡のあまりにも杜撰な仕事の為に次々にクレームが湧いてくるのだ。
思わずトイレで声を荒げてしまった。
気を取り直して、給湯室に向かう。
また今夜も残業である。
濃いコーヒーでも飲んでおかないと、やる気が保てない。
棚に手をやり、自分のマグカップを探すうち、飯岡のマグカップを見つけた。
益子焼きとかで、大事にしていたのを思い出した。
「お前のせいで」と吐き捨てるように言い、そのマグカップを睨む。
ふと、思い切り叩きつけてやりたいと思った。
ここではまずい。
後始末も大変だ。
(そうだ…)
屋上から裏通りに投げ落とそう。
金田は、その思いつきにニヤついた。
早速、飯岡のマグカップを大切に抱え、屋上に向かう。
熱帯夜が続く街は、夜になっても熱がこもる。
風が無い屋上は、立っているだけで汗がにじみ出す。
嫌な色の満月が金田を見下ろしていた。
彼はそっと手すりに近づいた。
二へ
前任者の飯岡が突然失踪した為、その分の仕事が全て金田に振られてしまった。
手が足らないのは当然としても、飯岡のあまりにも杜撰な仕事の為に次々にクレームが湧いてくるのだ。
思わずトイレで声を荒げてしまった。
気を取り直して、給湯室に向かう。
また今夜も残業である。
濃いコーヒーでも飲んでおかないと、やる気が保てない。
棚に手をやり、自分のマグカップを探すうち、飯岡のマグカップを見つけた。
益子焼きとかで、大事にしていたのを思い出した。
「お前のせいで」と吐き捨てるように言い、そのマグカップを睨む。
ふと、思い切り叩きつけてやりたいと思った。
ここではまずい。
後始末も大変だ。
(そうだ…)
屋上から裏通りに投げ落とそう。
金田は、その思いつきにニヤついた。
早速、飯岡のマグカップを大切に抱え、屋上に向かう。
熱帯夜が続く街は、夜になっても熱がこもる。
風が無い屋上は、立っているだけで汗がにじみ出す。
嫌な色の満月が金田を見下ろしていた。
彼はそっと手すりに近づいた。
二へ