「少し早くて申し訳ないですが、沙耶加の力になってもらいます。
さ、これを飲みなさい。」

成加の差し出した紫色の液体を少年は飲み干した。
「よろしい。では、服を脱いで沙耶加の横に寝なさい。」

大人になりきれていない少年の体が、沙耶加の横に並ぶ。
「では、羽化の儀式を始めます。いいですか、沙耶加」

「は、はい」

少年はいつの間にか、意識を失っている。
先程の液体は全身に麻酔を施したようだ。
呼吸も深く、穏やかに落ち着いている。
成加と田畑が台の側に立った。

「田畑。メスを」

「はい。」
鋭いメスが手渡された。成加は、そのメスを少年の下腹部に
突き立てた。
不思議な事に、血が一滴も流れない。
突き立てたメスをそのままみぞおちまで走らせた。
林田は、自らの拳を噛み締め、必死で悲鳴を堪えた。

「開腹。沙耶加。立ちなさい」

「はい」
ふらつきながら、沙耶加が立ち上がる。
白い肌が、血の気を失っている。よく見ると、ところどころが
火傷でも負ったかのように、ただれていた。

「蛹入りの儀。」

「はい」
沙耶加は、田畑と成加に支えられながら、開けられた少年の腹に
右足を入れた。
林田は我が目を疑った。