俺の身に起こった出来事である。

俺は晴雨を問わず、自転車通勤である。
W41CAにダウンロードした、お気に入りの音楽を聴きながら帰るのだ。

その日は、深夜近くの帰宅になった。
こういう時、自転車は気楽だ。
裏道をすり抜けて行けば、案外と車よりも早く帰宅できる。

その夜も寒さをついて、鼻歌を奏でながら、田圃道を走っていた。

左手約50m向こうに、新幹線の高架が見えている。
10m置きぐらいかな、ナトリウム灯(トンネルの内部照明によく使われるやつだ)が設置され、
ぼんやりと辺りをオレンジ色に染めていた。

俺は、あのオレンジ色の光が好きでは無い。
何だか淋しげで、あの灯りに照らされると、全てが表情を失ってしまうからだ。

しばらくの間、道は平行して続く。
何とは無しに、その灯りを見つめるうち、奇妙な事に気付いた。

時折、ナトリウム灯が瞬くのだ。
それも一つだけでは無い。
まるで示し合わせたように連続して点滅する。

(耐久性が有る筈やけどな…あれ?)

何か変だ。
自転車を停め、何が心に引っかかったか確かめた。

すぐに疑問は解けた。

ナトリウム灯が点滅しているわけでは無い。
一瞬、何かが灯りの前を横切るのだ。
その為に点滅したように見えるわけだ。

が、その『何か』とは何だ。

終へ