夜中というのに、男達の集団は熱気と殺気に満ちていた。
きりり、と彼等が見据えているものは、全国のえびす神社の総本社、
兵庫県西宮市の西宮神社である。
そう、言わずと知れた福男だ。

皆が狙っているのは、一番福である。
念入りなストレッチをする者、体を叩いて温める者、
其々が皆、我こそが一番福と自信に満ちた様子を見せている。
宮司が大きな箱を持って現れた。

「よし、出てきた。くじ引きだ」

「お待たせしましたー。では、一人づつオミクジを引いてください」

会場を埋め尽くした集団がざわめいた。
「なんだオミクジって」
「クジの間違いだろ?」

「はい、お静かにお静かに」
落ち着き払った宮司の声が、拡声器から聴こえてくる。

「今から引いていただくオミクジには、三枚だけ当たりがあります。
極吉・特吉・めちゃエエ吉の順番です。
これを引いた人を今年の福男といたします。」