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一生懸命頑張って、何から何までやり尽くして、それでもどうにもならない時がある。

そんな時、ほんの少しの温もりを与えてくれる屋台がある。

その名をがんばり屋と言う。

がんばり屋が提供するのは、出汁のきいたおでんと屋台のおやっさんの励ましだ。
『励ましセット』と呼ばれるメニューを目当てに、毎晩、お客さんが暖簾をくぐった。

「へぃらっしゃい。
おや?お客さん、今夜はお一人ですか」

おやっさんは、その青年に見覚えがあった。

いつも、可愛らしい彼女と二人連れだった。
何を話すでもなく、ただ並んで歩いているのだが、二人の様子から仲の良さが見てとれた。

「え?おやっさん、僕らのこと知ってるんですか」

「お名前は存じ上げませんけどね。今日は餅巾着が旨いっすよ」
励ましセットのお客さんじゃないなと見て取ったおやっさんは、今日一番のネタを薦めた。

ところが、それには返事せず、青年は湯気の向こう側で悲しげに顔を歪めている。


(おやおや、これは励ましセットかな…)

「おやっさん、俺…今、彼女と別れてきました。」

思い切ったように、青年は話し出した。