お父はんは、捨て猫を世話すんのが
好きでな、また新しい子を拾うたんよ。
今度の子は、クリスマスイブに来たから
イブやて。
ほんまになんも考えてないわ。

この子が来て、うち毎日張り合いができた。
ケンカばっかりしたけどな、
可愛らしい子やねんで、甘えたでな。

そんなこんなで、もう16年になる。
ははは、うち、まだ16歳の乙女やで。



近頃とんと体が弱ってな、大好きな窓にも
登られへん。
今朝ぐらいからかな、しんどいんよ。

もうあかんのかな。
長生きできたしな。
ハスキーんとこへ行けるんかな。


そやけど、ここで、この家で
いんでもうたら、お父はんもお母はんも
娘さんも、坊ちゃんも、えらい悲しむやろなぁ。


うち、何もできへんけど、最後にプレゼント
しようかな。


このまんま、姿を消したら、どこかで生きてるんや
って思てくれるかもしれへん。

そうや、そうしよう。

イブちゃん、ちょっと出てくるわ。
え?うん、そうやねん。
行ってくるわ。
あとのこと頼むな、せいだい甘えたってな、
お父はん寂しがりやから。
あほやなぁ、あんたが泣いてどないすんねんな。


あぁ、ええ天気やなぁ…
ハスキーんとこもええ天気やろなぁ。


家に挨拶しとこかな。
お世話になりました。
ええ暮らしさせてもらいました。



今度生れてくる時は、人間がええな。
ほんで、捨て猫いっぱい世話すんねん。

でも、この家に来られるんなら、
また、猫でもええわ。


お父はん、お母はん、もっぺん顔見たかったけど
しゃあないし、行くわ。



おおきにな。