「あ、あなたなんでどうして!死んだはずじゃないのよ!」

「酷いなぁ…いくら顔がグシャグシャに潰れてたからって、
僕じゃないことぐらい判らなかったのかい?」
秀一は恭子の髪を撫でながら、微笑んだ。

「あ、あれは貴方の死体じゃないの?」

「うん。誰かは知らない。ホームレスだよ。
スーツをあげるって言ったら喜んでついてきた」

「な、なんでそんなことを…今までどこに居たのよ!」

秀一は優しく撫でていた髪を一まとめにして、強く引っ張った。
「ひぃぃっ!止めてよ、離してよ、痛いじゃないっ!」

「どこに居たか知りたいんだろ?連れて行ってあげる」
恐ろしい力で恭子は引き摺られていく。
髪の毛が抜けそうになる。
秀一の向かう先は、押入れであった。

「ここだよ。ようこそ、我が家へ」
片手だけで人を引き上げるなどと言う真似が出来るはずが無い。
だが、秀一は軽くそれをやってのけた。
押入れに恭子を引きずり込み、秀一はなおも上に向かう。
見ると、押入れの天板が外れ、上がれるようになっている。
恭子の髪を掴んだまま、秀一は器用に上に上がった。
恭子も髪を引っ張られ、無理矢理引き摺り上げられた。