◎ シェルター
エレベーターの扉が開いた。
「あと五分でミサイルが!」
「どこへ逃げればいいんだっ」
悲鳴と怒号が渦巻く街を尻目に、私は悠然とエレベーターに乗り込んだ。
地下200mに設置された核シェルターに向けてエレベーターは降下し始めた。
非常用の食料も電源も確保した。
空気は循環して使える為、放射能の影響はない。
地上がどうなろうと、知ったことではない。
二年は楽々過ごせるレベルの施設なのだ。
退屈しのぎに図書館に匹敵する規模の本も用意した。
なんと、体が鈍らないようにジムさえ用意してある。
核の嵐が吹き荒れようと、私一人は悠々自適というわけだ。
出口が岩に塞がれるような事も無い。
頑丈な覆いを付け、周りは平地にしてある。
エレベーターが途中で止まらぬよう、シャフトもシェルターと同じ素材で作られてある。
二カ月後には出られる筈だが、その時になって外に出られずに、シェルターが棺桶になる等という馬鹿げた結末は御免だ。
そして私は、その目論見通りに二カ月を過ごした。
まるで長い休暇のようだった。
ラジオ局の電波だけが、微かに入るようだ。
どこの国の言葉か判らないが、アナウンサーがクラシック音楽を紹介し始めた。
どうやら平和な日々が戻り始めたらしい。
そろそろ戻っても良さそうである。
私は、読みかけの本を置き、長いシェルター生活に別れを告げ、エレベーターに乗った。
順調だ。
何一つ問題なく、エレベーターは動いている。
最上階到着。
いよいよ地上だ。
エレベーターの扉が開いた。
途端に大量の海水がなだれ込んできた。
そこには地上は無かった。
大量に降り注いだ核ミサイルは、日本という国を地球上から消し去ったのだ。
そうとも知らずに、私は二カ月を海底で過ごしていたのだ。
薄れていく意識の中で、私は一つだけ後悔していた。
あの本、最後まで読めば良かっ…
エレベーターの扉が開いた。
「あと五分でミサイルが!」
「どこへ逃げればいいんだっ」
悲鳴と怒号が渦巻く街を尻目に、私は悠然とエレベーターに乗り込んだ。
地下200mに設置された核シェルターに向けてエレベーターは降下し始めた。
非常用の食料も電源も確保した。
空気は循環して使える為、放射能の影響はない。
地上がどうなろうと、知ったことではない。
二年は楽々過ごせるレベルの施設なのだ。
退屈しのぎに図書館に匹敵する規模の本も用意した。
なんと、体が鈍らないようにジムさえ用意してある。
核の嵐が吹き荒れようと、私一人は悠々自適というわけだ。
出口が岩に塞がれるような事も無い。
頑丈な覆いを付け、周りは平地にしてある。
エレベーターが途中で止まらぬよう、シャフトもシェルターと同じ素材で作られてある。
二カ月後には出られる筈だが、その時になって外に出られずに、シェルターが棺桶になる等という馬鹿げた結末は御免だ。
そして私は、その目論見通りに二カ月を過ごした。
まるで長い休暇のようだった。
ラジオ局の電波だけが、微かに入るようだ。
どこの国の言葉か判らないが、アナウンサーがクラシック音楽を紹介し始めた。
どうやら平和な日々が戻り始めたらしい。
そろそろ戻っても良さそうである。
私は、読みかけの本を置き、長いシェルター生活に別れを告げ、エレベーターに乗った。
順調だ。
何一つ問題なく、エレベーターは動いている。
最上階到着。
いよいよ地上だ。
エレベーターの扉が開いた。
途端に大量の海水がなだれ込んできた。
そこには地上は無かった。
大量に降り注いだ核ミサイルは、日本という国を地球上から消し去ったのだ。
そうとも知らずに、私は二カ月を海底で過ごしていたのだ。
薄れていく意識の中で、私は一つだけ後悔していた。
あの本、最後まで読めば良かっ…