沙耶加の体が徐々に少年の体に入っていく。
少年の体に沙耶加の体が溶け込んでいくようだ。
それでもなお、少年の体からは血も、内臓も溢れ出てこない。
とうとう沙耶加の胸から下が少年の体に溶け込んだ。

「なかなか良いですね、田畑。」

「はい、順調です。やはり良い蛹人でした。」

「えぇ。誉めてあげなげればなりませんね。」

「新田の宇野です。一人息子という事です」

「それは殊勝なこと。私から直々に礼を届けましょう」
二人の会話中にも沙耶加は溶けていく。
もう、頭頂部だけしか見えない。
そしてそれも少年の中に消えた。

「うまくいきました。十分ぐらいですか?」

「そうですね、もう少し早いかも」

何だ。一体何が起こっているんだ。
林田はいつの間にか座り込んでいた。逃げようと思ったが、
結果を見届けたい気持ちの方が勝った。
腕時計を見る。まだ20分も経っていない。
林田には永遠の時に思えた。

ぐぼ

泥沼から泡が噴き出すような音がした。
少年の体からだ。

ごぼ

音にあわせて、少年の体がビクっと動く。

ごぼぼ

突然、少年の腹から手が突き出された。
林田は思わず、「ひぃ」と小さく叫んだ。

突き出された手は、何かを求めるように、宙を探る。
ぐぐ、と腕が出る。腕に続いて肩が出てきた。

そして頭頂部が現れた。

沙耶加であった。