「ありがとうございます。…あの、この駅って前から
有りました?」

「もちろんですよ。みな、気がつかないだけです」

「やっぱりね。…何ていう駅なんですか?」

駅員は黙ったまま駅名を記した看板を指した。

あぁそうか、溜息混じりに橋本は呟いた。
皆が気付かないのも無理は無い。


この駅は死んだ者にしか見えないのだから。
おそらく、俺は心臓麻痺か何かで死んだのだ。

駅員が指した看板には『人生の終着駅』とだけ記してあった。

橋本は次の電車が来るのが待ち遠しかった。
その電車が向かう先には、妻が待っているに違いないからだ。