魔界都市、新宿。
その一角で今、二組の男達が睨み合っていた。
一触即発、当にその言葉が辺りに満ちる。

「ほぅ…どうしても譲れへんっちゅうわけか」

関西弁のニュアンスが混ざる。
坊主頭に派手なスーツだ。

対するのは、頬に傷のある男。
仕立ての良い黒のダブルのスーツだ。

いずれも、暴力に物を言わせて生きてきたのは明らかである。

「当たり前だ。うちも代紋背負ってるからね。譲れんさ」


坊主頭の横で、一人が懐に手を突っ込んだ。
途端に頬を張られ、腹を蹴られる。

「どアホ。んなとこで騒ぎ起こしたら本家に迷惑かかるやろが」

「す、すんまへん」

身内に対する暴力は、相手を威圧する常套手段である。
素人相手なら充分に効き目があるのだが、相手もプロだ。

ニヤニヤと見つめるだけである。

「なぁ、うちらも騒ぎは起こしたくないんだよ。もう一度話し合わねえか」

頬傷がそろりと言い放った。

「ええやろ。」
坊主頭も笑う。
意外と人懐っこい顔だ。「ええか、さっきも言うたけどな、アーメン・ソーメンと来たら、次は冷やソーメンや」

「ふ。ソーメンがダブるのはおかしいだろう。アーメン・ソーメンの次はミソラーメンだっ!」

ラストへ