山の上である。当然、寒い。部屋も冷え切っている。
怪訝な顔つきの私に気付いたのだろう。
少女は開いている窓の理由を説明し始めた。

森田氏は行方が知れないのだと言う。
一週間前にその窓から出て行ったきり戻らない。
それ以来、窓を開けたまま、伯父の帰りを
待っているのだと少女は言った。

私はニヤニヤと笑いながら少女の話を聞いていた。
良く出来た話だ。
当たり前だ、これはサキという作家の作った話なのだから。

確か、「開いた窓」という話である。
その話では、最後に死んだ筈の伯父が窓から帰ってくる。
主人公は恐怖に身を震わせて家から逃げる。
だが、それは全て少女が考えた作り話であった。
伯父は猟に出かけただけ。
帰る予定時刻に合わせて、窓が開けられていたのだ。

あれと全く同じだ。
確かに最近、サキは読まれなくなってきているが、
怪奇小説好きの私にとっては周知の事実だ。


完へ