「これ持ってけ。」

小豆洗いが何かの包みを息子に渡した。

「これは?」

「赤飯ら。一生懸命がんばってこい」

うん、うんと頷きながら息子は山道を歩き出した。

時々振り返る。
小豆洗いはいつものように小豆を洗っていた。

ショリショリという音が木々の間を抜けていく。
軽やかなその音は、小鳥たちの声と共に我々を見送ってくれた。


帰りの汽車の中で、息子は包みを開けた。
艶やかな赤飯の握り飯が現れた。


あぁ、あんなに泣きながら食べたら
塩が効き過ぎるだろうにな、
そう思う私も、いつの間にか
涙をこぼしていた。