刑務所から、奈保美のもとに週に一度手紙が届く。
それには早智子の絵が入っていた。
刑務所から見える風景や、作業場の畑などと共に、
約束していたデザイン画も入っている。
奈保美も欠かさず返事を書いた。
会社を辞めてからの彼女は、ある決意のもと、睡眠時間を削り
働き続けていたが、そのことは億尾にも出さない。
普段通りの会話を楽しむような手紙を書き綴った。
早智子は模範囚の評価を得、四年で出所できる事になった。

八月の晴れ渡った日。
刑務所官に頭を下げ、礼を言った早智子は鉄の扉から外に一歩踏み出した。
途端に声をかける者がいる。

「飯、食いに行く?」
奈保美であった。
ニコニコと笑いながら泣いている。
卒業式の時と同じ顔だ。

「…うん。そっちのおごりなら」
早智子も笑いながら泣いている。
車に乗り込み、二人は市街に向かった。
まるで昨日別れたばかりのような会話を交わしながら
食事を楽しむ。

「さてと。本日のメインイベント会場に向かおうかな」

「何それ?」

「いいから。いいから黙ってついてきなさいって。
ここから歩いていける場所だから」



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