「あ痛っ!」

「おぅ、よっちゃん大丈夫?」

「ひでぇよ、このオバサンに突き飛ばされちゃった」

「マジっ!?ひっでぇ」
喧しく騒ぎ立てるグループに囲まれ、典子は立ちすくんでしまった。
全員が典子より遥かに背が高い。
流石に普段の勢いが出る筈も無い。

「ご、ごめんなさい…」
少年達は何も答えず、ニヤニヤと笑うばかりだ。
「通してください」

「慰謝料と通行料、合わせて五万」
一番大柄な少年が手を出しながら言った。

「じ、冗談じゃないわ」
「そ。冗談じゃないよ。さっさと出せよオバサンっ!」

凄まれて思わず、典子はヒィィッと悲鳴をあげた。

「そのくらいで勘弁してください」

声をかけたのは健二だった。
いつの間にか、少年達の後ろに立っていた。

「あ、あなた」

健二はうつむいたまま、もう一度言った。

「勘弁してください」

少年達のボルテージが更に上がった。
生け贄の臭いを嗅ぎ取ったのだ。

「なぁに?オッサン。代わりに払ってくれるの?」

「なんだ?震えてるじゃん」

確かに健二はガタガタと震えていた。
典子は恥ずかしさに顔を赤らめた。

健二の態度に少年達は暈に掛かって脅かし始めた。

四へ