やれやれ、と肩をすくめ、マークは山岡を見下ろした。
「Sial Menahun。英語で言うとCursed Forever。日本語だと、永遠の呪いだよ。
この樹で家建てるとね、じいさんばあさん子ども、何年も何年も
呪いが追いかけてくるんだよ、山岡さん。
だからね、永遠の呪い」

村長がそのあとを引き継ぐ。
「森の人はな、呪われた人間が大好きでな。味が違うのかもしれん」

「味って…」

「山岡さん、あんたもやられただろ。長い舌を体に差し込んで、
少しずつ少しずつ
肉を喰らっていくんだよ。命に影響の無いように、少しずつ少しずつな」

朦朧とする意識の中で、山岡は猿の舌を思い浮かべていた。
あの舌が、筋肉や贅肉を喰らっていくのだろう。
内臓、目玉、舌。

なるほど、この家は確かにクダイだ。
店だ。
売っている商品は俺だ。
「なぁマーク」

「なんでぃすか、山岡さん」

「一つだけ、頼みを聞いてくれないか」

マークは返事の代わりに小指を出した。
「指切りしまぁすよ」

「ありがとう」

山岡が人として存在したのは、その時までだった。