部屋に戻るとメールが来ていた。
不倫相手の健作からだ。
久しぶりに泊まっていくとの知らせに、洋子は腕によりをかけて
夕食を作り始めた。

だが今。
せっかくのその夕食は食べられることなく、二人の目の前で
冷えている。

「な、頼むよ。別れてくれよ」

「いやよ。約束したじゃない。奥様と別れるって。
あれは嘘だったの?!」
目が吊り上がり、口角に泡が溜まっている。
狂気一歩手前の顔つきに、健作は閉口した様子で
部屋を出て行こうとした。

「待ちなさいよ、まだ話は終わってないわよっ!
いいわ、逃げるならここから奥さんに電話してやるから」

立ち止まり、振り返った健作の顔にも狂気が滲み出している。
「今、なんと言った」

「奥さんに電話してやる。なんだったら、あたしの裸の画像付きでメールも
送ってやろうかしら。あなたの旦那さんは、今この体に夢中です、って」

そう言うなり、洋子はいきなりストッキングを脱ぎ始めた。
何よりも自分の体に自信がある者のやり方でだ。
だが、頭に血が上った健作には、もうそのやり方は通用しなかった。
背中を見せ、ブラのホックを外そうとする洋子の首に
脱いだばかりのストッキングが巻きついた。
抵抗し、暴れる洋子の手がストッキングにかかる。
何とかして隙間を作ろうと必死に指をかけたが、生爪が剥がれた
だけに終わった。

甲高く、枯れた音がした。
あまりにも強く締めすぎた為に、首の骨が折れた音であった。