どこからともなく聞こえてきた歌は、
いつのまにか終わった。
それは、このような歌詞だった。

ああシャクナゲの乱れ咲く
 永田岳深く鹿之沢あり
 われら生まれて故郷を愛す
 この空 この路 この静寂の山
 神秘の四季の故郷を愛す

ああ朝日のぼる杉の木立ちよ
 今日もかわらず愛子杉あり
 われら生まれて故郷を愛す
 このトロ このとび こののこ このなた
 変わらぬ自然の故郷を愛す

ああ水絶えぬ安房川あり
 水は清き早き流れよ
 われら生まれて故郷を愛す
 この岩 この水 この谷 この滝
 豊かにせせらぐ故郷を愛す

ああ南海に高くそびゆる 
 三岳の山々遠くにかすむ
 われら生まれて故郷を愛す
 この山 この杉 この川 この空
 美しき山の故郷を愛す

終へ