その後を微笑みながら里美が追いかけていく。
タラップを降りてくるのは、現地の者が殆どである。
だが今回の便には、明らかに人種が違う親子連れが混ざっていた。
「あれま、日本人だ。珍しいね、太陽」
「ほんとだ。こんにちはー!日本の人ですか?!」
太陽が発した日本語に驚きの色を見せた親子連れは、二人を見るや否や、
タラップの上で小躍りしながら歓声をあげた。
「お父さん、きっと間違いないよ」
「いやぁ、これは大吉大吉」
後ろに詰まった客に注意されるまで、その親子連れは呑気に喜んでいた。
「なんだか面白い親子だね、お母さん」
「そうねぇ。あ。こっちに来た」
男はタラップを転げ落ちるように降りてくると、里美の前でピタリと止まった。
「毎度ー、山崎でございましてぇ」
周りが振り返るほどの大きく朗らかな声だ。
隣で中学生と思しき少年も微笑んでいる。
「山崎…、あ。あの山崎さんっ?!」
「あぁ、池田はんですな。いやいや、お写真の通り、べっぴんさんやないですか。
いや、ついでに池田はんの御実家に寄ってね、お母様から色々と預かってきました。
梅干やら味噌やら、まあ重いの重くないの重いっちゅうねん。
あらためまして、こんにちは。山崎でございまして。
蚊帳を持ってきました。
こっちは息子の彰宏。いやぁ、暑いですなぁこっちは。沖縄よりも暑いですな」
立て続けにまくし立てられ、さすがの里美が黙り込んだ。