白虎はブルドーザーから降りると、その横腹に体当たりした。
まるで玩具のように、クルリとブルドーザーが向きを変える。

「あと10秒。それ以上は待たぬ。骨も残さず焼き払ってくれよう」

「ひぃゃぁぁ」
「お助けぇぇ」
「ご、ごめんなさい」

恐怖の余り、失禁でもしたのだろう。
三人の足下に水たまりが出来ていた。
ブルドーザーは持てる最高速度で森から退散して行った。


「ぃやったぁぁぁ!」
森の仲間達から歓声が湧き上がる。
誰彼かまわずに抱き合う中、まめ太はいつの間にかオレンジ色の猫に戻っていた。

そっと、その場を離れ、守り樹様に向かう。
その樹は、森の一番奥に在った。
幹は、何m有るのか想像もつかない。
その幹から数多く出た枝が、この森の全ての命を優しく守っている。

まめ太は、我知らず、頭を下げていた。

「森を守ってくれたのか、世話をかけたな、白虎殿」
いつの間にか、幹に優しげな老人の顔が浮き上がっていた。

「守り樹様、お初にお目にかかります」

守り樹様は、ゆさゆさと枝を揺さぶり笑った。

「先程までの強靭な姿とは全く異なるのぉ、ほんに可愛い猫じゃ。
おっと、これは失礼」

まめ太も共に笑った。