「はぁ?」

「幽霊になった時に、指導員から教えてもらったんすけどね、えぇと…確か腕を交差するんだっけか」

消え方を指導する霊が居るとは初耳だ。
坂木は興味が無いわけではなかったが、今は一刻も早く、城田と別れたくて堪らなかった。

「交差して、それからどうするの」

「ううん…そこから先が思い出せない」

「ほんとにもう。例えばこんなのか」

坂木は色々と動いて見せた。
腕を交差したままぐるぐると回ったり、飛んでみたり。
城田は懸命に思い出そうとしているが、いずれもピンと来ないようだ。


「ったく。どんなんだよっ」

苛ついた坂木は、交差した腕を鶏のように激しくバタつかせた。

「そ、それかもしれない」

「マジ?!」

「もう少し続けてみてください、もっと速く手のひらでバタバタと肩を叩く感じで」


坂木はバタバタと手のひらで肩を叩いた。

バタバタバタバタ

「あれ?」

「どうしました」


「いや、止まらないんだ」

坂木の手のひらは、あまりに速く動き過ぎて、残像しか見えなくなっている。

「あれま」

「ちょ、ちょっと止めて止めて止めて」