うな垂れる横山の肩をぽん、と叩き、春美は言った。

「食べる楽しみを提供する仕事、なかなかに難しなぁ。
でも、そやからこそ、やりがい有るやんか」

もう一度、作りなおしてデリバリーしてきます、と
勢いこむスタッフにチアガールのように足を上げて
応援を贈り、春美はスタッフルームを後にした。

「あ。思い出した。夢に出た朝食、きつねうどんやったわ」

けらけらと笑いながら、春美は車に向かう。
乗り込んだ途端、携帯が鳴った。

「はい、太田です」

『あ、澤田です。春さん、すいません。田上のお爺ちゃん、
どうしても家に帰りたいって言ってて…』

「判った。今から向かうから」

忙しい一日になりそうだ。

「望むところじゃいっ!」
ばしっと頬を叩き、春美は走り出したのだった。