おばあちゃんは、両方の手を色々に重ねて、その影を壁に映しました。

その影は、鳩になったり、白鳥になったり、犬になったりします。

「おばあちゃんすごいね」
ゆりちゃんは、もう夢中です。

ロウソクの光が揺らめく中、おばあちゃんの影絵は続きます。

段々とロウソクが短くなってきました。

「おばあちゃん、ロウソク無くなるよ」

ゆりちゃんがそう言った途端、玄関の扉が開きました。


「ただいまー」

お母さんです。
お母さんは心配そうに、小走りで部屋に入って来ました。

「ゆりちゃん、大丈夫だった?停電だなんて母さんどうしようかと…」

お母さんは目を丸くして、ゆりちゃんを見ました。

ゆりちゃんがにこにこと笑っているからです。

「えらいわねぇ、ゆりちゃん。暗いお部屋で一人でお留守番できたのね」

感心するお母さんにゆりちゃんは言いました。

「おばあちゃんが来てくれてたから。一緒に影絵で遊んだの」

「おばあちゃん?」

「うん。あの写真の人だよ」

ゆりちゃんが指差した写真を見て、お母さんは息を呑みました。

「この写真の人?おばあちゃんて」

それは、二カ月前に亡くなったおばあちゃんの写真でした。