その夜、男は国道を南へ向かって車を走らせていた。

峠に差し掛かった時、突然、車内にオレンジ色の光が溢れた。

何事か、と車を停め、外に出た男が見たものは巨大な未確認飛行物体であった。
更に輝きを増した光に包まれた瞬間、男は気を失った。

気がついた時、男は自分の車に乗っていた。

既に飛行物体は姿を消していた。


失神していた間の記憶は無かったが、男の首筋に奇妙な印がタトゥーのように残っている。
それが何よりの証拠であった。


その日から、男の人生は変わった。

正確には、金運が凄まじく上昇したのだ。

たまたま親切にした老人から巨額な遺産を相続し、宝くじにやたらと当たり、株で大儲けし、使い切れない財産を手に入れた。

男は豪邸に住み、派手な車を乗り回し、世界中の珍味を心ゆくまで味わう。


あの日、不思議な光に包まれたおかげだ、男は感謝した。


ある夜、男を再び光が包んだ。
今度は緑色の光である。

男はまたも失神した。

男の体は光の中に運びこまれたが、すぐに解放された。



異星人達は男を名残惜しそうに見ている。


【残念だな、美味そうに育っているのにな】

【あぁ、体中に珍味が詰まってる】

【だいぶ、手間暇をかけた素材だな】

【首筋の印から察するに、β29系星雲の家畜だろう。手を出すのはヤバい。残念だが諦めよう】


男はその後も豪華な食事を楽しんでいる。

出荷は秋ぐらいだろう。