今出川で降りて相国寺へ向かう。
少し汗ばむ程度の暑さが、逆に心地好い。
しばらくぶりの若冲展だ。
新聞に掲載されたせいか、人が多い。
嫁はんも俺も、並んでまで何かをする事が無い気質なのだが、
これだけは別だ。
当たり前のように列につく。
幸い、それほど待つことも無く中に入ることが出来た。

人が多く、落ち着いて観る環境では無かったが、
それでもやはり若冲は良い。
絵に引き込まれていく自分が判る。
若冲がこの賑わいを見たら、どう思うだろう。
喜ぶだろうか、困惑するだろうか。
それとも、そんな事は我関せずとばかり、描き続けるだろうか。

しっかりと堪能し、外に出る。
相国寺の門を出たところで、嫁はんが懐かしげに左手の路地を見た。

「ここを真っ直ぐ行くと、付き合ってた彼の家」

おや、そうなんですか

「御所でいちゃついたこともある」

ほほう。
実は、俺も学生の頃はこの辺りをうろうろしてました。
ま、時代が全然違うけどね。
御所でいちゃついたことは同じだな。


あの頃の俺はこんなふうに幸せな気持ちで、
この街を歩けるとは思ってもみなかった。
死ぬまでたった一人きりの道だと思っていた。

今は違う。
横を見ると、いつも笑顔の君が一緒に歩いている。

もうすぐ、結婚記念日。