藤沢さんは5月の連休中、家族旅行にでかけた。
旅行から帰った日の夕方。
現像されてきた写真を眺め、旅の思い出に浸っていた
藤沢さんの手が止まった。

古い民家を撮影した一枚に、それは写っていた。
玄関先に人がいる。
長い髪で顔が半分隠されていたが、女であることは間違いない。
女はカメラを睨みつけていた。

「父さん、何みてんの」

藤沢さんは、つい写真を見せてしまった。

「うおっ!すげぇ、なにこれ?」
心霊写真だと騒ぎ、息子は携帯電話で撮影した。
きつく叱りつけ、藤沢さんは、その写真を手帳に挟み、
鞄の中に片付けた。
幸いにも明日、明後日と連休は残っている。
知り合いの寺に持って行くつもりであったという。

その夜、藤沢さんは夢を見た。
写真の女がこちら側に歩いて来る。
ぎくしゃくとした動き方で、一歩ずつ近付いてくる。
ぽっかりと口を開けた。
 
『あああああああああっ!』
潰れた声で女は叫んだ。

藤沢さんは汗だくになり、飛び起きた。
予定を早め、顔を洗うのもそこそこに、寺へ向かう。
血相を変えて訴える藤沢さんをなだめながら、住職は写真を見た。