気がつくと、猪狩はボロボロと泣いていた。
他の組員も全て、泣いている。
皆、同じように子供の頃を思い出していた。

「無くしたものを思い出したか。
おぬしらにも様々な事情があろうが、
これからは少しずつでも良い。
真っ当な人間になりなされ」

化け地蔵は粉々になった亀山地蔵を
拾い集めると、真言を唱えた。
たちまち元通りの姿になる。

「あ、ありがとうございました化け地蔵様」

「うむ。よぅがんばったの。これからも
衆生を救うようにの」
地蔵達は、それぞれの社に戻った。

次の朝。
亀山地蔵の前を無心に掃除する者達がいる。

総谷組の組員たちであった。
なにか憑き物が落ちたような顔である。
ニコニコと笑っている者もいた。

亀山地蔵は最初、戸惑っていたが、
その笑顔を見て思いなおした。

ふむ、まるで子供のような笑顔じゃな
わしは、地蔵。子供の味方じゃ。
許してやるとしよう。

亀山地蔵もニッコリと微笑んだ。