母は台所でゴソゴソと何かやっている。
「なによ」

「腹減った」

「父さん呼んできて。御飯にするわよ」

「おぃっす」
父親の書斎に向かう。

「父さん。」

「ノックぐらいしろ」

父はモニターに向かい、仕事をしていたようだ。
休みの日ぐらいゆっくりすれば良いのにと思う。
「何してたの」

「飯だな、さぁさぁ行こう行こう」

雅夫の質問には答えようともせず、書斎を後にする。

今夜は餃子と唐揚げであった。

家族の間には会話が無い。
それぞれが黙り込んで食事を続けている。

父も母も何か考え込んでいるようだ。

雅夫も先程から、トロルの攻略法を思案している。

強い相手だ。
弱点をつかねば何ともならない。
つい、言葉になって口からこぼれ落ちた。
「トロルの弱点が解らないとなぁ…」

父が下を向いたまま答えた。
「首をはねるしかないかなぁ…」

母が続ける。
「あら、私が燃やしちゃうわよ」


「え」

「あ」

「う」


しばしの沈黙の後、何事も無かったように食事は進んだ。

「ごちそうさま」

「ごちそうさま」

「はいはい、よろしゅうおあがり」