「よう、謙司。やっぱり来てくれたな」

「ジンさん。俺、断りに来たんです。もう悪い事はしないと
誓ったんだ」

「いいのかい。お前の大事な友達がどうなっても」
ライターを弄びながらジンが笑った。
残りの二人も下卑た笑いを見せる。

「あんたがそれをしたら、こっちにも考えが有ります。
俺が知ってる限りの情報が警察にメールされるように
しました。あんた達が今までやって来た事全て、
それとあんた達の裏に誰が居るかも」

三人の笑いが止まった。
凶暴な本性が剥き出しになる。
「てめぇ…死ぬ気かよ」

「そうだぜ、んなことやったら街歩いてらんねぇぞ」

「あんたらが俺にこれ以上構わなければ
俺も何もしない」
実は全くの出鱈目なのだが、三人は見事に騙された。
所詮、脛に傷がある者は真っ当に歩く者に勝てない。
命を棄てる覚悟でやって来た謙司の迫力に圧倒された
三人は、腹立ち紛れに謙司を寄ってたかって殴り始めた。
もともと小さな体の謙司は、全く抵抗できず、虫の息のまま
車に乗せられた。
口と鼻から溢れる血は止まらずに車から滴り落ちている。
所々に血痕を残しながら、車は駐車場から山道に向かう。
謙司を始末するつもりである。
既に夜の帳が辺りを包む中、謙司の体は崖を滑り落ちていった。